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まずは成長に必要な栄養が取れているか確認を。あわせてマッサージで感覚を育てていきましょう!
もともと食べられるものが限定されていたところ、風邪をきっかけにさらに少なくなってしまったとのこと、お母様のご心配はごもっともだと思います。ご相談いただいてから少し日にちが経っているかと思いますが、現在はいかがでしょうか。
2歳7か月という年齢を考えると、運動発達も育ち、お子さんの活動範囲も広がっていると思われますので、牛乳とフォローアップミルクが主たる栄養源になってしまうと、成長に必要な栄養が取れているのか、確かに気になるところだと思います。成長に必要な栄養が取れているかどうか、目安の1つとなるのが成長曲線です。成長曲線を下回っていなければ、食べられるものが少なくても、お子さんの成長に必要な栄養は取れていると考えられますので、お子さんのペースで食べられるものを広げていけるとよいとでしょう。もし、成長曲線を下回っている場合は、まずは偏食改善よりも先に、身体の成長に必要な栄養素を取ることが最優先になります。かかりつけの小児科、もしくは地域の小児の総合センターのような場所で、医師に相談しながら、液体状の栄養補給ドリンクなど、栄養を補えるものを活用していくのも一案です。まずは成長曲線を確認してお子さんの今の状態を確認しながら、お子さんが受け入れられるものの中で栄養を補っていけるとよいでしょう。
ご相談の中にあった、固形物やお菓子などは好まれないといったご様子から、口に入れたときに感じる固さや味がはっきりしているものへの抵抗が強いことが伺えます。こうしたご様子から、お口の中で感覚を感じとるセンサーが非常に鋭く、過敏さが強いため、今食べられているもの以外は、お子さんにとっては『よく分からない怖いもの』と受けとってしまっているのだと思われます。徐々に受け入れられる食べ物を広げていくためにも、この過敏さを少しでも和らげていけるとよいでしょう。
感覚刺激への鋭さ・過敏さは、身体内のセンサーが未熟な状態であるたため、感覚的な刺激を強く受け取りすぎてしまっていることが原因です。そのため、身体内のセンサーを育て、身体に伝わる刺激を適切に受けとれるようになっていくと、過敏さも徐々に落ち着いていくと考えられます。今、様々な食べ物を試していくことは、お子さんにもお母様にも大変な労力がかかりますので、おすすめしません。代わりに、身体の他の部位をしっかりと触ってあげることで、お口の中の感覚も育てていけるとよいでしょう。くすぐりごっこや抱っこがお好きであれば、遊んでいるとき、お風呂に入っているときなどの時間にたくさんしてあげてください。寝る前のスキンシップとして、お顔を触るのもよいと思います。また、ぐっと押したときに大人の指が白くなるくらいの、少し強めの力加減で、手のひらや足裏をマッサージしてあげるのもおすすめです。
もしも抱っこや触れ合い遊びがあまりお好きではない場合は、お口の中だけでなく、身体全体の感覚が敏感であると考えられます。その際は、まずはお子さんが受け入れられる短い時間で構いません。お着替えを手伝うときや、お風呂で身体を洗うときなどに、少し強めに身体をこすったり、「こっちの腕を通そうね」などと腕を触りながらやりとりをするといった、自然に身体に触れるタイミングで関わっていただけるとよいと思います。
食べてくれるものが少ないため、ご心配はあると思いますが、まずは今食べられるものを食べつつ、成長に必要な栄養素を取れるようにしていきましょう。それにあわせて、身体に触れるマッサージや触れ合い遊びなどを行いながら身体の感覚センサーを育て、徐々に受け入れられる感覚が広がると、少しずつ食べられるものも増えていくと思います。
※今回は、一般社団法人ぽけっと【臨床心理士】が回答しました。