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基本的な調味料の塩分量を参考にして、普段の塩分量を把握しましょう。
お子さんの食事が大切だと思うあまり、毎日「これで良かったのかなぁ…」と真剣に向き合った結果、ストレスを感じておられるように思います。幼児食が食べられるようになり、大人からの取り分けメニューで提供することに疑問を抱き立ち止まってくださったのはとても良かったです。
なぜならば、よほど大人が薄味の食事を摂っていない限り、お子さんにとっては味が濃すぎてしまうからです。そして濃い味の食事を摂り続けることは、繊細な味覚を持った幼児期に味覚の幅を広げる機会を奪ってしまうことにもなりかねないのです。
味には、調味料の味だけでなく素材(肉、魚、豆、卵、乳、野菜、いもなど)が元々持っている風味や甘味・旨味なども含まれます。味が濃ければ濃いほど素材の味を隠してしまうばかりでなく、それに慣れてしまうと薄い味を受け付けなくなってしまう心配があります。ですから味付けについては、特に3歳までに味覚が決まるとも考えられているため、ぜひ今日から見直してあげることをおすすめします。
まず、1~2歳の食塩摂取量は1日3~3.5g(2歳女児は3.5g)未満ですので、1回の食事は食塩量を1g未満が目安です。(厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準(2015年版)より)
塩1g(小さじ1/6)は醤油に置き換えると約6g(小さじ1)、味噌に置き換えると約8g(小さじ1と1/3)に当たります。主菜、副菜、汁物にそれぞれの調味料を使用する場合は、単純に先ほど示した1/3量ずつ調味料を使うとちょうど食塩量が1食1gに収まる計算となります。
【献立一例】
魚の塩焼き、青菜のおひたし、豆腐と大根の味噌汁
●幼児1人分の分量
味覚を豊かにする上で、お子さんにはこの表の塩分濃度を目安にしてあげてください。(主菜が一番濃く、汁物は濃くても0.6%までですと味のバランスが良いです)
上記の献立で、大人2人分と子ども1人分の分量は下記の表のようになります。
●大人2人+子ども1人分の分量
この塩分バランスを応用して、もう一例、献立をご紹介しますね。分量は幼児1人分の分量です。
- 主菜:魚の味噌煮〔魚 40g、水 大さじ2、料理酒 大さじ1、味噌 小さじ1、みりん 小さじ1、砂糖小さじ1、しょうが 少々〕⇒ お子さんには煮汁を除き、大人向けには煮詰めて煮汁ごとどうぞ。
- 副菜:野菜炒め〔キャベツ・にんじん・玉ねぎ・きのこなど 40g程度、油小さじ 1/4、塩 0.3g、こしょう 少々〕
- 汁物:すまし汁〔焼き麩 2個、乾燥わかめ 少々、だし汁 80g、醤油 小さじ1/3〕
他にもHAPIKUのレシピページでもたくさん紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね!
大人が味見をしてしっかりと調味料の味がわかるくらいでは子どもには濃いため、少し味がする程度で大丈夫です。当然、大人はこの味付けでは物足りないと思いますので、一緒に薄味で仕上げたものをお子さんの分だけ先に取り分け、焼き魚には塩やポン酢、おひたしには醤油やかつお節、味噌汁には味噌をお好みで加えてみてくださいね。薄味の料理を濃くすることは簡単ですが、全ての濃い味の料理を薄くすることは難しいため(特に中までしっかりと味が付いている料理など)、面倒ですがこの方法をおすすめします。
ちなみに、大さじ1杯あたりの塩分含有量は、醤油:約3g、味噌:約2g、中濃ソース:約1gです。醤油や味噌も含め、メーカーや原材料の違いにによっても食塩含有量に差がありますので、それぞれの商品パッケージに記載されている表示をご確認ください。
12歳以上の1日の食塩目標摂取量は、男性8g未満、女性7g未満とされています。ですので、大人も1食あたり2.3~2.6g未満が塩分量の目安となります。(大人2人+子ども1人で醤油大さじ1杯を使用した場合は、それだけで1人あたり1gということです)
毎回「調理のたびにここまで厳密に調味料を計量しなければいけない」ということではなく、どれくらいの濃さでよいのかご自身の舌が慣れるまでは、ご紹介した分量で味付けをしてみてください。これくらいがお子さんには適切かなということがわかってきたら、舌で覚えた感覚を他の調味料を使う時にも応用できるようになるかと思います。
それでも面倒だと感じる場合は、塩分濃度計という食塩量を数値化してくれる小型の電子機器も流通していますので、そういったものを指標にしてみると塩分の摂り過ぎの心配がぐっと減らせますよ。(汁気のあるものの測定に使えますので、メーカーごとの性能をご確認ください)
これを機に、大人も普段どれだけの塩分を摂っていたのかを認識し、摂り過ぎていた場合は生活習慣病の予防のためにも、徐々に調味料を少なめに慣れていくようにしたいものですね。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。