Q

食べ物やお皿を投げてしまいます

すぐに食べ物やお皿を投げてしまいます。少量ずつ乗せていますが、なかなか食べてくれません。
好き嫌いも多く、肉魚は食べません。好きなものもすぐ変わるのでほとんど食べないで終わることもあります。
どうしたらいいでしょう?
(1歳パクパク期・男児)

A

好奇心・探求心が旺盛な時期です。行動を受け止めながらも毅然とした態度で根気よく伝えていきましょう。

食べ物やお皿を投げてしまうときのお子さんの表情はどんな感じでしょう?楽しそうにしていますか?それとも怒った感じでしょうか?
例えば保育園ではこんなふうに対応します。以前私がかかわっていたお子さんの話ですが、ちょうど手づかみからスプーンで食べられるようになった時期に、遊び食べをするようになりました。保育士が何度声かけをしてもやめません。とっても楽しそうにわざと食べ物を落とすので、保育士は最初「あらあらまた落としちゃった」とにこにこ対応していました。するとますますお子さんもにこにこして落とします。
そんなやりとりを食事のたびに繰り返しているので、保育士はある日「食べ物を下に落としたら食べられないね。もったいないね。メ、メよ(ダメよ)、といつもより声を低くして、「先生は怒っています」ということを伝えてみました。そしてその後、またそのお子さんんが食べ物を落としてもそのこと事態には反応せずに(落とすことには先生は興味ありませんよ、という意思表示をして)反対にうまく口に運べたときには「そうそう、上手ねーおいしいね!」とほめるようにしました。するとある日突然、落とすことをやめたそうです。
お子さんがもしも楽しそうに、お母さんお父さんの顔を見ながら食べ物やお皿を投げているとしたら、好奇心や探求心から来ていることが考えられます。1歳~2歳ごろの時期は、言葉も少しずつ分かるようになり、自分で食べる意欲が育つ反面、好奇心や探求心が旺盛で、周りの環境に働きかけて「こうしたら、どうなるだろう?」と繰り返し試したり大人の反応を見て「やっていいこと・いけないこと」を学びつつある時期でもあります。高いところに何度も登ろうとしたり、スイッチを押したがったりしますね。みんなと一緒に気持ちよく食べるためのルールを理解できるようになるのは3歳前後です。また、1歳半~2歳半頃にはスプーンやフォークを上手く使えるようになり、一人食べが確立されていきます。
2歳頃は、歩行の完成とともに探索活動もますます盛んになりますが、食事も「自分で!」という自我が強くなり大人に干渉されるのを嫌がったり、食欲にムラが出たりもします。
ただここで一つ留意しておきたいのは「あらら、また落としちゃったねー」と一緒に笑って楽しんでしまうことは逆効果だということです。大人が笑って楽しそうにしているのを見て、「あ、落とすとお母さんが笑ってくれる、楽しい。もう1回!」という認識になってしまうこともあるでしょう。大きな声で叱ったりするのではなく、前述の保育士のように、いけないことはいけない、と凛とした態度で伝えてあげることです。時間はかかるかもしれませんが、「落としても大人は喜んでくれないけど、食べたらお母さんお父さんもにっこりするんだ」と、お子さんは少しずつ学んでいくことでしょう。
また、怒って投げるのであれば、まずはその感情の原因をさぐり、落ち着かせてあげた上でゆっくりお話ししてみましょう。
困らせるような行動も、お子さんの中で自我が芽生えている成長過程のひとつととらえ、(お母さん、お父さんは大変ですが)じっくり付き合ってあげてください!
(グローバルキッズ保育園 園長・保育士)