Q

食べるのが遅い…

幼稚園での給食や家での食事のときに、嫌いなものがあるとちびちび食べて時間がかかります。幼稚園では長い時だと1時間くらい時間がかかるようですが、ちゃんと完食はするそうです。ただ、いつも食べ終わるのは一番最後です。
小学校に上がると給食の時間が短くなるので心配です。どうしたら早く食べられるようになりますか?
(5歳11か月・男児)

A

お子さんのご様子に合わせて対応方法を考えてみましょう。

いつも食べ終わるのは一番最後とのことなので、嫌いなものが無くても、食事に時間がかかるお子様なのだと思います。そうすると心配になるのは就学後の給食ですが、現在の学校給食では、嫌いなものを無理に食べることを求められることは少なくなっています。食事時間がかかってしまう場合でも、自分で食べられる量に減らして、時間内に食べられれば問題ありませんが、そのためには自分の食べるスピードや、食べられる量をある程度知っておくことも大事です。就学に向けて、どこまで食べるか、いつまで食べるかを大人と相談しながら自分で決めていく練習ができるとよいでしょう。

 

とはいえ、現在も食事に1時間はかなり時間がかかっているのも事実です。食事に時間がかかる理由や背景がいくつか考えられますので、一つずつ対処方法を考えていきましょう。

運動面にも苦手さがある場合

◦食具の扱いが苦手でうまく使えず時間がかかる
◦口の中の筋肉が育ち切っていないため、噛んだり飲み込んだりという食べること自体が負担になっている
◦長時間座っていられず食べ続けられない  など
身体が育ち切っていないことから食事に時間がかかってしまっていることもあります。風船やシャボン玉、にらめっこなどの口周辺を使う遊びをしたり、手足のマッサージをする、公園の遊具で遊ぶなど身体全体を使った遊びを行うことで、食べられる身体にしていくことも大切です。

食への興味が薄い場合

ごはんを作る手伝いをしてもらう、食に関する絵本を一緒に読むなど、ご本人が食事自体に興味を持てるような工夫をしてもよいかもしれません。食べている途中で遊んでしまうなど、食事に集中できる時間が短いのであれば、「ココまでにコレを食べる」と細かく目標を決めてそれを積み重ねたり、一品ずつ出したりするなど、食事の出し方に変化をつけてみることもよいでしょう。

偏食やこだわりなどがある場合

成長曲線から大きく外れていないのであれば、食べられるものを食べるという大きな気持ちで捉えることも大切です。お弁当であれば、苦手なものは極力省いて、食べられるものを入れるようにするとよいでしょう。
また、こうしたタイプのお子様は、感覚が過敏であったり、新しいことに挑戦するのが苦手な傾向があります。普段からいろいろな感触に触れ、様々な体験をしていくことで、食事場面でも広がってくると考えられます。

 

食べるのに時間がかかるということ一つとっても、背景や理由は様々です。食事場面への対処だけをピンポイントに考えるのではなく、生活全体を見通したうえでアプローチしていくことが大切です。今回のご相談の場合であれば、時間を意識させ、早く食べさせるようにするという対応をすると、お子様にとって食事の時間が苦痛な時間となり、ますます逆効果になってしまう可能性があります。給食時間内に食べ終えるという目的に対しては、食事量を減らすなど一時的な対処で乗り切り、根本的な食事時間の短縮に関しては、背景に応じた対応を行いながら、お子様の成長をサポートしていけるとよいと思います。

※今回は、一般社団法人ぽけっと【臨床心理士】が回答しました。