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噛む回数を増やせるよう、大人も一緒に噛むことへ意識を向けてみて
離乳食を始めた頃は、「まだ消化機能が未熟なんだな」と納得ができていたと思いますが、2歳8ヵ月ともなると、食べられる食材も増え、大人の食事に近いものが食べられるようになって身体も成長したことを感じますよね。同時に、消化機能も成長しているわけですが、食べたものが便にそのまま出てくることもあるのです。それは、大人の場合であっても同じです。
便にそのまま出てきやすいものは、「スループット食材」と呼ばれ、食物繊維を多く含む次のような食材です。
・とうもろこし
・トマトの皮
・豆の皮
・きのこ
・海藻
・果物の種
・ごま
・ナッツ
など、実にさまざまなものがあります。そして、これらは、大人でも十分に消化されないこともあるため、大腸の内視鏡検査の3日前~前日には食べないように指示されることもあります。
ちなみに、それらの食材が便にそのまま出てくるかどうかは、
・一度に食べた量
・よく噛んだかどうか
・食べた時の体調はどうか
などによって左右されるようです。
お子さんの便に出てくるのが気になるのであれば、まずはよく噛めているかどうかを観察することをお薦めします。幼児食を食べるようになると、多少大きくても噛んで飲み込んでいるように見えますが、意外と丸飲みをしていることもあるのです。チェックポイントは、【口に入れてから次に口へ運ぶまでの間隔】が早すぎていないか、です。「早く食べて」と急かしてしまうと、4歳7ヵ月のわが子でさえ、朝食に出したにんじんの細切りが、午後の排便でそのまま出てきたという経験があります。
まずは、一口あたりの噛む回数が何回くらいになっているかを把握し、10回以下の場合は「もっとゆっくりカミカミしてみようね」「お口の中は全部細かくなったかな?」などと隣で声を掛けながら、焦らず付き合ってあげると、お子さんも噛むことに意識を向けられるようになるのではないでしょうか。
大人でも、一口30回が理想(食べ過ぎ防止や消化吸収を高めるため)と言われるように、意識していないと噛む回数というのはなかなか増えないものです。そして、それは子どもの頃からの習慣でもあるため、大人になってから頭では噛むことのメリットがわかっていても、それまであまり噛んでいなかった人にとっては、なかなか習慣として定着しにくいのが現実のようです。ぜひ、お子さんのうちから噛むことを意識づけさせ、同時に大人も一緒に噛むことへの意識を向けていけるといいですね。
また、消化吸収については、そのまま出ていたとしても全く栄養になっていないというわけではありません。
消化器官と呼ばれるのは、消化液を出している胃腸だけではなく、実は“口”も含まれているのです。一番最初の消化器官である“口”で大切な「噛む」という機能を十分に活かし、しっかりと自分の歯で細かく噛み砕けるようになっていけば、便への出方も変化していくはずです。そして、少しずつ便に混じらなくなってきたら、その分食べたものの消化率が上がり、お子さんの成長に必要な栄養の吸収率も改善してきていると考えられます。
・炭水化物(ごはんや麺などの主食、いも類)
・たんぱく質(肉・魚・豆・卵・乳製品)
・脂質(油・バター・マヨネーズなど)
が偏りなく、毎日の食卓に並ぶことを意識してあげるといいですね。我が子も成長曲線のギリギリ下のラインを推移し続けていますが、成長がゆっくりであっても、機嫌よく活動できているうちは大丈夫です。お子さんの食べる意欲を育てていってあげてくださいね。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。
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