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発育に支障がなければ焦らなくて大丈夫。いろいろな野菜や食具に触れられる機会を作ってあげて。
栄養面が心配というお悩みですが、炭水化物・たんぱく質は食べられる食材から摂れているため、あとはビタミン・ミネラル・食物繊維を補ってあげられるとよいですね。
現在お子さんの健康面はいかがですか?身長、体重の伸び率に問題がなく頑固な便秘などがなければ、何がなんでも野菜を食べさせなければと焦る必要はありません。栄養面で不足していたとしても、発育に支障がなければ今食べられている状態を維持していくことを大切にしてあげてください。と言うのも、大人が必死になって「食べさせよう」とすればするほど、子どもはそれを感じ取ってストレスを受け、悪循環に陥るケースもあるからです。
食べられるものの中に果物が含まれていなかったのですが、生の果物が食べられるのであれば、完璧に野菜の栄養を補えるところまではいきませんが、不足しがちなビタミン・ミネラル・食物繊維をいくらかは摂ることができます。そのままが苦手であれば、少し凍らせて削ればシャーベットにできますし、ゼラチンや寒天などで固めてデザート風にしてあげると興味を示すかもしれません。
果物も食べてくれないという場合は、
・麺類と野菜を煮込んで、野菜のエキスが出ているスープを与える
・野菜が使われているふりかけを使って、野菜の色や風味に触れさせる
・大人の食事から一口分だけおかずを取り分け、食べなくても毎回野菜のある食卓にする
こういった方法で少しでも野菜のある状況に慣れさせていくことをおすすめします。
2歳頃は情緒面や感覚面での発達が著しく、好き嫌いなどの指向も変わりやすいタイミングと言われています。一度食べたときに嫌な思いをしたり(叱られた、体調を崩したなど)、柔らかさが気に入らなくなったり、色・大きさ・匂いが気になる…など、「こんなことで?」と大人が感じるようなことでも、気にするお子さんはいます。
また、お子さんは3歳近いので言葉の面からのアプローチが有効かもしれません。野菜が主人公の絵本を読んで親近感を持たせたり、近所の畑や家庭菜園を見ながら野菜(旬の時期、花の色など)について教えてあげたり、買い物に連れて行って一緒に野菜を選んでもらったり、料理のお手伝い(冷蔵庫から取り出すだけでもOK)をお願いしたり、食べること以外にも野菜に触れられる機会を設けてはどうでしょうか。「今日見た野菜と同じだよ」と言って食卓に出すのと、よく知らない野菜が出てきて「食べる?」と言われるのでは、お子さんの気持ちも大きく変わってきますよ。
もうひとつ心配されているスプーンやフォークなどをあまり使わないというお悩みですが、こちらもまだ焦る必要はありません。手づかみ食べをしているのは、単に食べやすいという理由だけではなく、触感を使って食べ物を観察しているという学びの側面もあるからです。温度・柔らかさ・弾力…こういったものを手で触れることで感じ取り、自分にとって食べられるものかどうか確認する作業ともいわれています。
大人にとっては、見た目や箸で触れることで把握できることであっても、お子さんは経験も浅くまだまだ自分の知っている世界が狭いため、慎重に安全を確かめているのです。
他に考えられることとしては、まだスプーンなどを扱えるほど手先が器用に発達していなかったり、握りにくかったりすくいにくくて嫌だったり、お子さんなりの理由があるかもしれません。場合によっては大人と同じもの使いたがるお子さんもいますので、子ども用はコレ、と決めずに大小様々なものを使わせてあげるとお気に入りが見つかって使いたくなると思いますよ。
興味を持ってくれたら、上手に使えるかどうかを気にするのではなく、楽しく食事できる方法を一緒に考えてどんどんチャレンジさせてあげてください。すくいやすい長さに切る、小分けにして丸めてあげる、とろみを付けてあげる、すくいやすいふちの食器を選んであげる、といったことも食具を使いたくなる要素の一つです。
食べやすくなれば他の食材にもチャレンジしようという意欲もわいてくるかもしれないので、日々の小さな成長を喜びながら、見守っていってあげてくださいね。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。