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焦って食べさせようとしないで。苦手な理由に応じて工夫を。
小学校への入学が近づいてくると、「苦手なものを減らさなくては」と焦る保護者も多いのではないでしょうか?給食では肉が使われる頻度が高いので、食べられないと残すものが多くなってしまい、せっかく栄養面で考えられた給食がもったいなく感じてしまうかもしれませんね。
しかし、給食は栄養補給としての一面もありますが、家庭などでは食べなかったものをみんなと食べる機会でもあり、新しい経験を通じて食べられるものが増えていくことも期待できますよ。
肉が苦手な理由は?
そうはいっても、苦手を好きに変えることは簡単ではありません。肉が苦手ということですが、どんなところが苦手なのかは把握しているのでしょうか?
文面だけでは推測できないのですが、独特のくさみや歯ごたえがあるので食べにくいと感じることが多いようです。そのため、質問者さんのお子さんも、少量のミンチ(ひき肉)がほかの食材に混ざっている程度であれば肉っぽさを感じにくくて食べやすいのかもしれません。
無理に肉から多くのたんぱく質を取らなくてもOK
管理栄養士としては、たんぱく質が多いほかの食材を食べることができていれば、無理に肉をたくさん食べさせる必要はないと思います。今は、少しでもひき肉が食べられればOKとして、肉全体が嫌いにならにように意識してあげることをおすすめします。
例えば、ひき肉以外の肉料理も食卓にあげていると思うので、「それおいしいの?」などと本人が興味を持ったときに一口味見をさせてみるなど、いつでも食べられる環境にしておくことが大切です。そして、お子さんが興味のないときは、無理にすすめないこと。食事の時間は、できるだけ楽しいという雰囲気づくりを忘れないでいましょう。
くさみが苦手な場合の対処法①
1つの案として、大豆ミートを取り入れてみるのもいいかもしれません。大豆ミートは、大豆を加熱・加圧・乾燥などの工程で作られた食品で、肉の代替品としてスーパーやドラッグストアなどで販売されています。肉のくさみは全くないので、もしくさみが苦手の原因であれば、大豆ミートを肉代わりに調理して肉料理に親しみを持ってもらってはいかがでしょうか。
何度も食べて慣れてきたら、大豆ミートの一部を肉に置き換えて同じように料理してみます。置き換えは1割くらいから始め、できればひき肉やしゃぶしゃぶ用の薄めの肉だとくさみが抑えやすでしょう。
ただし、肉を加えたら隠したりせず、少しだけ加えたことをお子さんには必ず伝えてください。知らずに食べて隠されていたことを知ると、その後も疑って食事に手を付けなくなることもあるのでご注意を。
くさみが苦手な場合の対処法②
ほかのくさみ対策としては、肉そのものを酒・塩こうじ・ヨーグルト・牛乳などのいずれかに15分ほど浸してから料理に使う方法があります。こうすることによって、肉のくさみの元となる成分を吸着したり、加熱時に飛ばしやすくできるので、手間はかかりますが試す価値はあると思います。
食感が苦手な場合の対処法
肉の部位や脂身との割合や加熱の仕方によって、肉の硬さは左右されます。パサパサとした食感が苦手という場合には、しっとりとした仕上がりになるように長時間の加熱を避けるか、肉の表面に片栗粉をまぶして加熱することをおすすめします。
また、歯の生え具合やあごの発達状況によっては、嚙み切りにくくて苦手という場合も。その場合は、繊維に対して直角に細く切って調理する(チンジャオロースーのイメージ)、肉が薄くなるまでラップの上からペットボトルなどで叩きつぶして焼く(チップスみたいにカリカリにするイメージ)といった方法で食べやすくすることができますよ。
それでも効果がない場合
もし、ご紹介したものを試してもあまり食べない場合でも、肉を入れて煮込んだスープだけなら飲んでくれる可能性もあります。肉に含まれる一部の栄養素(ビタミンなど)は煮汁に溶け出すので、肉そのものが食べられなくても栄養面ではいくらか安心できるのではないでしょうか。
あまり神経質にならず、少しでも食べる機会があればOKという姿勢で向き合ってあげてほしいと思います。「一口食べてみようかな」という姿勢が見られたときには、食べた食べないに関わらず、目いっぱいほめてあげてくださいね!
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。