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食べ物の“繊維”が気になるのかも…。繊維の少ないりんごやチーズから噛む練習をしてみて。
今まで食べられていたものが食べられなくなったり、噛まなくなったりとのことですので、「今まで食べていたのにどうして?」と疑問や焦りを感じられるのも当然かと思います。
お子さんは、食べ物の味よりは“固さ”や“感触”、更に言うと“口の中で溶けるかどうか”というところが気になっているように思えます。どんなに柔らかく煮ても吐き出してしまうということですので、もしかすると野菜やお肉などの“繊維”の部分がポイントかもしれません。大人が気にならないような野菜や肉の繊維でも、口に残ることを気にされるお子さんはいらっしゃいます。特に離乳食期からいろいろな物を食べ、口の中の感覚が育ってきたお子さんには、舌や歯に触れる感触が細かくわかるようになってきたことで、今まで問題なく食べられていたいちごの種やぶどうの繊維質などを“不快”と感じることがあるのです。
また身長や体重が伸び悩んでいたり、もともと小柄なお子さんですと、栄養面の心配も出てきたりしますが、ご相談者のお子さんは少なくともカレーやふりかけごはんなど食べられるものもあるようですね。ぜひ、それらを活用していきましょう。例えば、取り入れたい野菜などをミキサーなどでペースト状にし、現在食べられているカレーやコロッケに混ぜてみるのはいかがでしょうか? 動物性のたんぱく質が摂りたいということなら、離乳食用にも販売されているレバーペーストやツナを炊き込みごはんやコロッケ、豆腐と混ぜて加えてみても良いかもしれません。また、ふりかけも小魚や野菜、ひじきなど栄養価の高いものを入れてみるなど、現在食べられているものにプラスするような形で負担なく取り入れていけると良いと思います。
咀嚼の練習には、薄く切ったりんごや大きめに切った豆腐、キャンディーチーズなど、まずは繊維が少ないものから挑戦していくと良いかもしれません。チーズはアンパンマンなどキャラクターの包装のものもあるので、好きなものを使って食べる意欲を高めるのも良いですね。今現在食べられている物の形を少し変えてみるだけでも噛み方は変わります。おにぎりを棒状にしてみるなどのひと工夫でも練習に繋がっていきます。
一方で、運動発達面の育ちはどうでしょうか?身体の感覚全体を育てていくと、口の中のデリケートさが落ち着くことがあります。もし運動面の発達も気になるようでしたら、くすぐり等のふれあい遊びや体、手足のマッサージ等もぜひ取り入れてみてください。
お子さんもお母さんも食事自体が嫌いにならないことが大切です。新しいものへの挑戦は、時間や人手に余裕がある週末に1回程度にしてみたり、カレーなど活用しやすいものはたくさん作って冷凍しておく等、お母さんの負担が少ない範囲で取り組んでいけると良いですね。今は見た目などにあまりこだわらず、食べられるものをベースに少しずつ広げていきましょう。
※今回は、一般社団法人ぽけっと【臨床心理士】が回答しました。