それぞれの時期で獲得する口の動きとは?
離乳食を始めるタイミングとしては、
・口の中で唾液が出ていること
・大人が食事をしている様子に興味関心をもつ様子が見られること
などがあげられます。一般的には、5~6ヵ月くらいのお子さんにこうした様子が見られるようになったら、離乳食を始めるタイミングです!
前期食『ゴックン期』
離乳食は、まず 前期食『ゴックン期』から始まります。前期食は液体状の母乳やミルクより、もう少しとろみがついた重めのヨーグルトくらいの硬さが目安といわれています。食事の時にお子さんが口を開けた状態で、食事を迎え入れるために、舌が唇よりも少し前に出せるようになることがポイントです。前期食の時期に獲得する口の動きは次の2つです。
母乳やミルクの時期では、赤ちゃんたちは乳首を口に加えたまま、ごくごくと飲んでいます。そのため離乳食を始めたばかりのお子さんは、まだ上手に唇を閉じて飲み込むことができません。唇を開けた状態で飲み込むという動作は、赤ちゃんのみに見られる動きなんです。実際にやってみていただくと分かりますが、口を開けた状態で唾を飲み込むことは、大人でもとても苦しくなります。そのため、唇を閉じて飲み込むという動作ができるようになることは、赤ちゃんがミルクを飲む口から成長した証になります。この2つの動きができるようになったら、中期食へ移るタイミングです。
中期食『もぐもぐ期』
中期食『もぐもぐ期』の食事は、お子さんが歯を使わず舌で食べものをつぶせる程度の硬さの食事で、大人が指で簡単につぶせるくらいの硬さが目安となります。中期食の時期に獲得する口の動きは
次の3つです。
中期食の食事は、どろどろ状だった前期食のときよりもやや固まりの食事になるので、舌と上あごを上手に使って飲み込める状態まで食べものをすりつぶせることが大切です。
お子さんの口の動きとしては、食べものを口に入れたときに、唇の両端が同時に上下し、もぐもぐと噛んでいるような動きをします。また、あごが上を向いていると、食べ物を飲み込みにくいということに気がつき、あごを下げて飲み込む動きが自然とできるようになります。このような動きが上手にできるようになったら、次は後期食に移るタイミングです。
後期食『カミカミ期』
後期食『カミカミ期』は中期食よりも少し硬めの食事で、歯茎でつぶしたり前歯で噛み切る動作ができるようになります。この時期に獲得する口の動きは次の2つです。
中期食では上あごと舌だけですりつぶしていた食べ物を、舌を上手に使って、歯茎の横や頬でつぶす動きができるようになります。『カミカミ期』という名前の通り、中期食よりもしっかりと『カミカミ』しているように見えるため、唇の端が左右交互に動いたり、噛んでいる方の唇の端が縮むなどの動きが見えるようになります。ここまでくると、『噛む』動作にとても近い動きになりますね!
このように、離乳食期とは以降の幼児食や大人と同じような食事を食べられるようになるための、舌・唇・歯や歯茎などの動きを獲得する時期といえます。食事を通していろいろな舌の動きができるようになることが、上手におしゃべりできるようになる土台になっているんです!
特に月齢の小さいお子さんは、成長の段階や個人差も大きいため、『○ヶ月になったらこの動きができるようになる!』と、明確に言い切れない部分もありますが、お子さんが離乳食を始めたら、ぜひこうしたお口の動きにも注目してみてくださいね!
※今回は、一般社団法人ぽけっとの【言語聴覚士】が執筆しました。
一般社団法人ぽけっと
2017年2月設立。児童発達支援・放課後等デイサービス事業『発達支援ルームぽけっと』や園や学校の先生方を支援する研修・巡回事業等のサービスを提供しています。
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