気になる小食、どうしたらいいの?

臨床心理士が伝える感覚面、その第4弾では「ごはんを食べすぎてしまうのはどうして?」と題し、考えられる要因と心がけていただきたいことをお伝えしました。第5弾となる今回は、前回とは対照的にお子さんの「小食」についてです。それぞれのタイプ別に専門家がアドバイスをしています。

乳幼児期の食事に関するご相談のひとつに“小食(少食)”があります。あわせて偏食についてのご相談も多くありますが、小食は偏食とは異なり好きな食べ物であってもあまり食べない状態のことを指しています。
小食のお子さんは見た目や味など、いろいろな工夫をしても食べる量が増えにくいため、頭を悩ませる方も多くいます。特に料理や食育に興味があるなど、食への意識が高い方ほど“一生懸命作ったのに食べてくれない、せっかく丹精込めて作ったのに…”と気持ちを落としやすいようです。しかし、たくさん食べて大きく育ってほしい!という親心に反して小食のお子さんは、どれだけ工夫をしても1回の食事量はすぐには増えないことが多いのです。

 

小食には3つのタイプがあります。

実は小食には大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれに理由があります。

 

このタイプのお子さんは、食べる量が少なくても十分動けるなど、もともとエネルギーを多く必要としません。よく動いている日でもあまり食べないことも多いので、動きの量と食事量はあまり関係がないといえます。体重や身長が大きく伸びなくても、本人なりに増えてきているようであれば特に問題はなく、省エネなタイプだから少ない量で満足しているんだな、と捉えていただけるとよいと思います。

 

このタイプのお子さんは食事の際、座る・噛む・飲み込むなどの動作に負担を感じやすく、食べている間に疲れてしまうようです。特に噛む負担の大きいお肉やきのこ、繊維質な野菜などに苦手意識をもつことも多く、やわらかいものを好みやすい傾向があります。こういったお子さんの場合、食べる量も少ないのに食べる時間もだらだらと長くなってしまうこともあるため、1回の食事量は始めから少なくし、食べる回数を増やすような工夫をおすすめします。もし、お肉などの弾力のあるものにチャレンジさせる時は大きさを小さくしたり、与える量を減らしてあげると負担の軽減につながりやすいです。

 

小食が気になるお子さんには、実は間食でお菓子などをたくさん食べている場合が多く見受けられます。間食は内容こそお菓子ですが、お腹に溜まる上、食事に比べ甘味など味もはっきりしている物も多いため、たくさん食べてしまう、というようなことはありがちです。おやつは食べるのにご飯は全然食べない!と気にされているならば、“もしかして間食が多いのかな?”という視点を持っていただくことも良いと思います。もし間食が多いのであれば、間食自体の量や、時間帯を調整することで改善するかもしれません。

 

 

子どもにあった食事量や食べる回数を!

食べる量が少ないとなると、栄養面も心配になるのは当然です。しかし、①の省エネタイプでもお話した通り、小食で注意すべきポイントはお子さんの身長と体重など(成長曲線)が伸びているかどうか、です。成長曲線をやや下回っていたとしても本人なりのペースで伸びてきているのであれば特に気にしなくても問題ありません。ただし、大きく下回るようなら保健師(保健センター)や医師(病院)に相談してみることをおすすめします。

 

また小食がいつまで続くのか…というお話ですが、大人になっても小食の方はいますので、①の省エネタイプのようなお子さんはなかなか変化しにくいものです。ですが、お子さんによっては保育園や幼稚園に入園し、お友だちと一緒に食べる給食ならばある程度の量を食べられる場合もありますし、小学校に入り活動量が増えるのと比例して、食事量が増える場合もあります。まずは本人なりに身長や体重が伸びているのか、というポイントを意識しながら、それぞれのお子さんのペースにあった食事量や食べる回数を見出していけるとよいですね。

 

※今回は、一般社団法人ぽけっとの【臨床心理士】が執筆しました。

 


 

一般社団法人ぽけっと

corporate009_img012017年2月設立。児童発達支援・放課後等デイサービス事業『発達支援ルームぽけっと』や園や学校の先生方を支援する研修・巡回事業等のサービスを提供しています。
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