歯と口のトラブルと「腎」との関係

6月4日~10日は歯と口の健康週間。以前は、6月4日を6(む) 4(し) にちなんで「虫歯予防デー」としていましたが、現在では歯の大切さを呼びかける期間になっています。
そこで今回は、虫歯予防について取り上げました。虫歯は甘いものとの関係がよく言われますが、歯だけをみるのではなく、他の内臓との関係をみながら虫歯予防を考えます。歯は骨が余ったものとされ、腎臓と深い関係があるとする東洋医学では、虫歯はどのようにとらえられているのでしょうか。

 

口のトラブルはからだ全体のこととしてとらえる

虫歯や歯肉炎など口のトラブルは口の中だけのことと思われがちですが、東洋医学では内臓との関わりなど、からだ全体のこととして捉えています。通常、口のトラブルでは、口内のPH値(酸性、アルカリ性を示す値)、磨き残し、唾液の分泌量、甘いものなどが影響すると言われていますが、東洋医学では、虫歯や口内トラブルの原因は大きくふたつと考えられており、ひとつは腎臓が弱ること=腎虚(じんきょ)、もうひとつは胃腸の熱によるものです。(表の青色部分をご参照ください)

 

五行色体表 (ごぎょうしきたいひょう:体の臓器や味覚などを5つのグループに分けたもの)

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腎虚(じんきょ)によるもの

東洋医学でいう腎臓の最も大切な働きとは、蔵精作用といって、精・エネルギーを蔵する(貯える)ことです。精には、父と母から受け継いだ「先天の精」と、食物と空気が合わさった「後天の精」とがあり、2つの精が合わさって腎臓に蓄えられたものを「腎精(じんせい)」と言います。腎精とは、言い換えると、生きるためのエネルギーの源であり、身体の発達や成長、維持にとても深く関わっています。
腎臓に負担がかかり、弱ってくると(腎虚と言います)、手足のむくみ、膀胱のトラブル(おねしょや頻尿、膀胱炎など)、耳のトラブル(難聴や中耳炎など)、骨や歯のトラブル(骨折や虫歯など)、唾液の減少などがみられます。
中でも、唾液には消化を促すだけではなく、再石灰化の働きや、抗菌作用、口内のPH値を中性に戻すなど、虫歯予防にはとても大切な役割があります。もしお子さんに、食事中に飲み込みづらい様子や飲み物で食べ物を飲み込んでいるような様子が見られたら、唾液の分泌量が少ない可能性があります。その場合には、噛むことを促したり、食事に少量の酸味(お酢や梅干し等)を加えるなどして唾液の分泌を促してあげましょう。
腎臓に負担が掛からないようにするには、栄養バランスと睡眠時間が大切です。腎臓を補う食べ物については、<冬の「腎」を癒す食べ物と、おせち料理>を参照してみてください。また、腎臓を養うためには、日光浴や外遊びもとてもおすすめです。これからの季節、水分補給には十分注意しながら公園などに出かけるのもいいですね。