「(せ)うゆ」の話

しょうゆは五味をあわせもつ、おいしさがつまった優秀な調味料！

「しょうゆ」は、主原料の大豆、麦、塩に麹菌や水を加え、発酵させてつくられています。甘味、酸味、塩味、苦味、旨味がバランスよく含まれているのが特徴で、苦味は塩味や酸味でマスキングされ、コクとして感じられるため、五味が重なり合った深みのある独特の味わいに仕上がっています。

色は黒っぽいイメージがありますが、じつは新鮮なしょうゆは鮮やかな赤褐色。空気に触れたり、時間が経つと酸化が進み、黒ずんだり風味が落ちたりするため、早めに使いきるのがポイントです。

また、しょうゆは発酵食品のため、長時間加熱すると香りがとんでしまいます。香りを活かすためには、料理の仕上げに近い段階で入れるのがコツ。しょうゆの味をしっかり含ませたい煮物などは、最初からしょうゆを加えて煮たあと、風味づけのために仕上げでも少量加えるといいでしょう。

知っておきたいしょうゆを使う6つの効果

1、消臭効果

しょうゆに含まれるアミノ酸由来のメチオノールが、食材の臭い成分を吸着し刺身などの生臭さを消します。日本料理の下ごしらえなどでは、この効果を利用し、肉や魚を“しょうゆ洗い”して臭みを消します。

2、加熱効果

しょうゆのアミノ酸と砂糖などの糖分が、加熱によってアミノカルボニル反応を起こすことでメラノイジンという芳香物質ができ、香ばしい風味がつきます。また、褐色色素の作用でおいしそうな照りが出ます（照り焼き、蒲焼きなど）。

3、静菌効果

しょうゆに含まれる塩分やアルコールは、大腸菌などの菌の増殖を止めたり、死滅させる作用があります。しょうゆ漬けや佃煮などに応用されます。

4、抑制効果

塩辛いものにしょうゆをかけると、しょうゆに含まれる有機酸類に塩味を和らげる働きがあるため、塩辛さが抑えられる効果があります。漬かりすぎた漬けものや辛い塩鮭などにかけるといいでしょう。

5、対比効果

甘い煮豆にしょうゆを加えると甘みが引き立つように、一方の味が強く、もう一方の味がわずかな場合、主体の味がより強く感じられる作用があります。

6、相乗効果

だしに含まれるイノシン酸や干ししいたけのグアニル酸と、しょうゆのグルタミン酸が合わさると、相乗効果でおいしさが増します。例えば、お吸い物や煮物、そばつゆなどが挙げられます。

しょうゆの種類

濃口しょうゆ

一般的にしょうゆとは、濃口しょうゆのことを指します。濃口は色が濃く、香りやコクが強いのが特徴。つけたり、かけたりするのはもちろん、煮物や照り焼き、炒め物、焼き物など、いろいろな料理に使われます。塩分量は約16％。

淡口しょうゆ

主に関西で使われているしょうゆで、色が淡いので「淡口（うすくち）＊」という名がついています。軽い香りで味も薄く感じられますが、塩分量は濃口より高く約18〜19％。食材の色をきれいに仕上げたい煮物や汁物など、素材のもち味や香りを活かすような繊細な料理に向いています。

＊「薄口」と書かれることもあります。

たまりしょうゆ

中部地方でよく使われているしょうゆ。濃口、淡口は大豆と小麦をほぼ同量ずつ使いますが、たまりしょうゆはほとんど大豆だけで作られています。刺身のつけしょうゆやせんべいなどのつけ焼きに向いていて、旨味成分が強く、とろっとして濃厚な味が特徴。塩分量は約16％。