舌からわかる子どもの冷え

冬の「外寒」と「内寒」

東洋医学の考え方では病気の原因は3つあるとされ、「外因」「内因」「不内外因」と言われています。
外因は暑い、寒い、乾燥しているなどの季節的な特徴により体が影響を受けることで、内因は食生活、睡眠、心の状態などにより体が影響を受けることとされています。不内外因とは運動不足や外傷など、外因と内因以外のことを指します。

 

1年の中で最も気温が下がる1、2月。中医学では「春に生まれ、夏に成長し、秋に収まり、冬に蔵する」といわれ、寒さが本格的になるこの時期は、蔵する、つまり「蓄える」ことがとても大切な季節となります。冬は寒さの影響を受けるので、冬の外因を「寒邪(かんじゃ)」といい、寒邪から身体を守るためにたくさん寝て体力を温存し、体が冷えすぎないように温めること、腎機能をととのえることが大切になるのです。

(腎機能をととのえることについては、『冬の「腎」を癒す食べ物は「黒い色」の食材』をご参考ください。)

 

「寒邪(かんじゃ)」が体に入って症状としてあらわれたものを「外寒」といい、いわゆる風邪にあたります。一方、内側の冷えから起こる症状は「内寒」といい、子どもに出やすい症状としては、胃腸の冷えからくる軟便、下痢、消化不良や肺の冷えからくる咳や息切れなどがあります。

 

舌から観察する「冷え」

内臓の冷えをみるためには、舌診(ぜっしん)という舌を観察する方法が使われます。漢方薬局では舌診を取り入れることが多く、冷えや熱、水や血の巡りをみるのに使われています。子どもにべーと舌を出してもらい、観察してみましょう。舌が白っぽいとからだが冷えていることを、赤っぽいと熱をもっていることを表します。

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また、舌のどの部分が赤っぽいのか、白っぽいのかで、内臓のどの部分が冷えているか、熱をもっているかを知ることができます。

 

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舌の奥が下腹部にある臓器、腎臓や膀胱にあたります。ここが白いと、おねしょやトイレが近い、おなかが痛い、下痢や軟便になりやすいなどということがあります。腎の不調については、『冬の「腎」を癒す食べ物は「黒い色」の食材』で詳しくご紹介しています。一方で赤い場合にはしめじ、冬瓜、貝類を取り入れてみてください。

舌の中央は胃にあたり、ここが白いと消化不良が起きやすいといわれます。かぼちゃやかぶ、大豆、鶏肉(ささみ)がおすすめです。赤かったり黄色かったりと熱をもっている場合には、冷やすために冷たい食べ物や飲み物を欲しやすくなりますが、冬の時期は体を冷やさないようにするために、冷たいものを取り過ぎないようにすることも大切です。胃の熱に対しては、豆腐や白菜、葉物野菜を取り入れるのもよいでしょう。

舌の両側は、肝臓になります。赤かったり黄色かったりと熱をもっている場合は、大根の葉、レバー、シジミなどの貝類、いちご。そして子どもは少し苦手かもしれませんが、セロリ、ピーマンもよいとされています。白い場合は、にら、にんじん、ぶり、まぐろがおすすめです。手足が冷えている場合は温めてあげるのもよいでしょう。

舌先は肺にあたり、白い場合は、玉ねぎ、ねぎ、しょうがなど体を温めるものを、赤い場合は、大根のサラダ、ごぼう、海苔、柿などを取り入れてみてください。

 

自分で熱を生み出す力を育てること

昔から「首」とつくところは冷やさないように、と言われてきました。首、足首、手首と、首がつくところは筋肉や脂肪が少なく外気の影響を受けやすいためです。また頭寒足熱といって、足元を冷やさないようにとも言われてきました。とはいえ寒さから身を守ることは大切ですが、厚着をしたり温かい室内にばかりいると、自分の熱を生み出す力を甘やかすことにもつながります。

寒いところでの運動は、体内のエネルギーを生み出すミトコンドリア(日々生活したり、成長したり、熱を生み出したりと、生きていくためのエネルギーを作っているのが、細胞内にあるミトコンドリアという場所になります)の活性にもなると言われており、細胞つまり体が丈夫に元気になります。食べ物などで身体の内側は冷やさないようにし、寒さの中でも外遊びをすることで元気な体づくりができるといいですね。

 

※舌の色はあくまで目安です。普段から観察するようにして舌の色を比べてみたり、検温との関係をみてみると子どもの体調が分かりやすくなりますよ。