おねしょと食の関係

気持ちが落ち込みやすい梅雨の時期、子どものおねしょは洗濯物も乾きづらく、布団が干せない日などにはどうしたものかと悩んでしまいます。
この春にトイレトレーニングをスタートさせた方も、おむつに戻したいと思うことがあるかもしれませんが、その前に食事でできることを見ていきましょう。

おねしょの仕組み

睡眠中、体の中では抗利尿ホルモンが分泌され、尿の作られる量が減ります。一方で、タンクの役割をしている膀胱では日中よりも尿をためる力が大きくなります。尿量が減り、蓄えが大きくなるため、長時間トイレに行かずにすみますが、未就学時期の子どもはこの仕組みが未熟なため、おねしょをしてしまうことがあります。

 

おねしょと関わる五行の「腎」

五行の図で、おねしょと深くかかわってくるのが、ホルモンと膀胱両方を司る水のエネルギー「腎」です。この「腎」の働きをよくするためには、「腎」の食材を摂るようにします。魚介類や海藻など海のものやみそ、しょうゆなどです。また、五行には、各部分を助けるエネルギーの働き(相生/そうじょう)と、妨げるエネルギーの働き(相克/そうこく)があり、「腎」を助ける働きは、青の矢印1つ前の金のエネルギー「肺」です。ここに含まれるしそ、ねぎ、れんこん、しょうが、にらなどの食材も一緒に取るとよいでしょう。例えば、いわしのしょうが煮や、ねぎやにらが入ったみそ汁です。逆に、土のエネルギー「脾」が強すぎると「腎」の働きを妨げることになるので、「脾」に含まれる甘味、甘いものの摂り過ぎには気をつけてください。夜のデザートやくだものを控えてみましょう。

 

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また、五行は、7情という「怒・喜・憂・思・悲・恐・驚」の7つの感情でもそれぞれ分けられています。おねしょに関わる「腎」は、恐れや驚きになります。乳幼児期の子どもの睡眠は大人より深く、尿意で起きることが難しいこともあるため、叱っても改善されないばかりか、子どもが驚いたり怖がったりすることで「腎」に負担がかかり逆効果となります。また、毎夜定期的に起こしてトイレに連れていくことは、夜間のホルモンのバランスに影響を与えてしまうため、避けた方がよいでしょう。

 

「腎」を調える味は鹹味(かんみ)、つまり塩味です。就寝前に塩を少し舐めるという民間療法もあります。ただし、塩分の摂りすぎや濃い味付けのものを食べると、喉が渇き水分を欲します。水分の摂り過ぎはおねしょにも影響を与えますので、うす味を心がけながら、「腎」に属する海藻類、魚介類、みそ、しょうゆなどを上手く取り入れましょう。

 

おねしょと体の冷え

おねしょする子どもの体は冷えていることが多いため、夏に向かうこの時期でも足元を温かくしてあげることが必要です。梅雨時は体感としては冷えていなくても、足元が冷えていることがあるのです。足が冷えると、冷えた血液が体の方に上がり、膀胱など下腹部の臓器を冷やし、おねしょの一因となると言われています。

 

Summer vegetable set食べ物では、根菜や魚、梅干しなど陽性の食べ物は体を温めますが、トマトやきゅうり、なすなどの陰性の夏野菜やじゃがいもは、体を冷やすだけでなく利尿作用もあるため、夜に摂るのは控えてみましょう。食べ物の陽性(温める働き)や陰性(冷やす働き)についての詳しいことは、「東洋医学からみた食育の考え方~陰と陽~」をご参照ください。

また、冷えから軟便などになりやすい方は、「うんちと食の関係~軟便と冷え~」をご参照ください。

 

おねしょには食べ物だけでなく感情も関係しています。あまり神経質にならず、おおらかな気持ちで受け止めてあげましょう。