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バランスは大事。
でも、まずは心の重荷を下ろしましょう!
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2016.5.17
ついプレッシャーに感じてしまう…「一汁三菜」
そもそも、よく言われるバランスの良い食事の代名詞ともいえる「一汁三菜」とはなんでしょう。
「○汁○菜」ということばは、日本の代表的な料理である「本膳」や「懐石料理」の形式のひとつです。本膳料理には「膳組」と呼ばれる形式があり、客の身分や役職によって菜の数が変わります。一汁三菜、一汁五菜、二汁五菜、二汁七菜、二汁五菜、三汁七菜、三汁十一菜などがあったといわれています。一汁三菜は、その中でもっとも簡素な形式。農林水産省は、一汁三菜の「日本型食生活」を提唱しており、「バランスのよい食事」として紹介しています。
農林水産省ホームページ:http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/nozomasiisyokuseikatu.html
主食(ごはん)+汁+おかず三種(主菜・副菜・副々菜)からなり、和食の基本と言われていますね。
この形式は室町時代に確立されたそうです。良質で適切な量のたんぱく質をできるだけ多くの野菜と一緒に摂ることができ、栄養バランスが非常に良い食事方式でもあります。
保育園や学校給食でも、バランスの良い食事を子ども達に提供するために、この一汁三菜を基本とする献立が組み立てられています。
人間が健康な生活を送るために必要な良質なたんぱく質を、多くの野菜とともに摂取することができることも、和食が世界的に注目されている理由の一つです。
バランスのよい食事を!などと前回のコラムにも書きましたが、私も含め多くの働く母にとって、毎回の食事をバランスよく整えることは、かなりの心の重荷です(もちろん完璧にやっていらっしゃる方は素晴らしいです!)
朝ごはんと夜ごはんの2食をとっても、毎日のメニューを考える中で「ああ、今日も、野菜が少ない…」「昨日と同じような味付けばかり…」「母親失格なのでは…」と、感じていませんか?完璧な一汁三菜を基準にして評価してしまうと、ますます自己嫌悪に陥ってしまいます。そんな罪悪感を感じながら子どもにイライラあたってしまうのもまた、心身の健康に良い影響を与えません。
一方で乳幼児期の食事は身体との心の成長にとって欠かせない、生きる力をつくる源。おろそかにするわけにはいきません。
では、いったいどのように毎日の献立を考えたらよいのでしょう?
こんな考え方はいかが?【その①】
まずは配膳から考えてみる
一汁三菜か…ふぅ~とため息をつく前に、まずは献立作成の基本から(家庭科の教科書にも載っていましたね)復習してみましょう。「そんなのわかってるよ!」という基本のキホンですが、意外と分かっているつもりになっていませんか?
1. 主食を決める
主食とは、エネルギー源となる、炭水化物を多く含む食品です。
ごはん? パン? 麺類?
2. 主菜を決める
主菜とは、たんぱく質や脂質を含むメインディッシュです。
肉? 魚? 卵? 豆?
3. 副菜を決める(1品~)
ビタミン、無機質、食物繊維を含む食品を選ぶとよいでしょう。
海藻やきのこ、いも類、野菜を使った酢のものや和え物など、主菜に添えるおかずです。
副菜は2品というのが一汁三菜の基本とされていますが、気負わずにまずは、一品添えることを意識するだけでもOKです。
4. 汁もの
みそ汁やスープ…具を多彩にすれば、立派なおかずのひとつになります。
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主菜から考えるほうが思い付きやすい人もいるかもしれません。必ずしも主食から順番にではなくてもよく、汁ものから考える日があってもいいですね。
こんな考え方はいかが?【その②】
「ま・ご・は・や・さ・し・い」を取り入れてみる
「まごわやさしい」と「おかあさんやすめハハキトク」(いやな言葉ですね!)という言葉を知っていますか。
多くの方がご存じだと思いますが、「まごわやさしい」は、日本の代表的な食材をあらわした言葉です。一方「おかあさんやすめ…」は洋食。食の欧米化を示した言葉です。
どきっとしてしまう方も多いのではないでしょうか?かくいう我が家もどちらかというと「おかあさんやすめ…」のメニューの登場回数が多いような気がします。どのメニューも子ども達が大好きなメニューですね。
でもこれらは、野菜が不足していたり、糖質や脂質を過剰に摂取してしまう恐れがあるメニューであることは一目瞭然。そんなときは、「おかあさんやすめ…」メニューに一品、「まごわやさしい」を添えてみる。一日三食でなくても、1日の中でやりくりをしてもよいと思います。
例えば、オムライスにブロッコリーとひよこ豆のサラダ、サンドイッチにカボチャのポタージュ、スパゲティーにポトフ…など。それだけで栄養値も高くなり、かつ心の重荷も軽くなります。
こんな考え方はいかが?【その③】
オリジナルで「旬の食材表」や「献立アイデアシート」をつくってみる
私が、毎日メニューを考えるときに困るのがレパートリーが少ないこと。新しいメニューをレシピ本から取り入れてみることもありますが、なかなか時間がありません。次こそもっと新しいものを!と思っていても結局、いつもの食材、いつもの味、いつもの調理法に落ち着いてしまいます。
そこで思いついたのが、献立を考えるときにちょっとヒントになるようなメモを自作することです。
これはあくまでも私自身の個人的なアイディアなので、みなさん自身でもっと使いやすいようにアレンジしたり、カード形式にしたり、専用ノートをつくってみるのもいいかもしれません。私の場合は、この表を冷蔵庫に貼ったり、手帳に挟んだりして、献立を考える時に役立てています。
また、「旬の食材一覧表」をつくっておくのも便利だと思います。お子さんと一緒にイラストを描いてマグネットにして、「今月の旬の野菜・果物・魚」というタイトルで、冷蔵庫やホワイトボードに貼るのも楽しいですね。
心の片隅でバランスを意識するだけ!完璧にできなくても「よし」とする。
「子どもの健康や成長のために、心がけている私って、エライ!」
「少し時間に余裕のある週末は、いつもより少しだけバランスの良い食事を作っている、私って頑張ってるよね!」
そうです、完璧でなくても、バランスの良い食事について考え、奮闘している保護者のみなさんはステキなんです。だから毎日の朝ごはんが一品だけでも、夕ご飯がちょっと手抜きでも、どうか自己嫌悪に陥らないでください。
バランスの良い食事を心がけるためにも、知識は持っておくに越したことはないと思います。「知る」「わかろうとする」心がけだけでも、毎日のメニューづくりにたとえ後悔ばかりだとしても、ステキなお母さん、お父さんなのです。
五大栄養素や6つの基礎食品群、三色食品群、栄養成分表、食事バランスガイド…いろいろな情報があふれる世の中ですが、そもそも昔から日本では、子どもにどんなものを食べさせてきたのでしょう?
昔の離乳食ってどんなものだったのでしょう?子育てと食についてその歴史をひもといていきたいと思います。