「(し)お」の話

「うまい、まずいは塩加減」とよくいわれるように、塩は料理の味を左右する重要な調味料。最近は専門店ができるほど関心も高まっている塩についてのお話です。

塩と砂糖を一緒に使うときは、砂糖のあとに塩を入れるのが基本!

塩は砂糖より分子量が小さいため、砂糖と同時に使うと塩のほうが早く素材に染み込み、砂糖の味が入りにくくなってしまいます。一緒に使うときは、先に砂糖を入れて素材に味を充分に含ませてから、塩を入れましょう。

 

塩の主成分に含まれる「ナトリウム」は生命維持に欠かせない“必須ミネラル”の一つ。栄養の消化吸収を助けたり、体内の水分の塩分濃度を調整したり、神経の情報伝達や筋肉の伸縮を正常に保ったりする働きがあります。

体にとって必要ではありますが、塩分はいろいろな食べ物に含まれているため、摂りすぎる傾向にあります。

特に和食の場合は、みそ汁を一日1~2杯飲む習慣や、漬け物や梅干のようにもともと塩分の強い、いわゆるごはんのお供が食卓に並ぶので、塩分が高くなりがちです。摂りすぎると生活習慣病につながるため、一日の摂取量をコントロールすることが大切になります。

 

塩には塩味をつける役割のほかに、次に挙げるお料理への効果がたくさんあります。離乳食ではまだ使いませんが、毎日の献立の効率UPに役立ててみてください。

知っておきたい塩を使う6つの効果

1、対比効果

お汁粉に塩を少し入れたり、スイカに塩をふったりすると甘みをより強く感じますよね。このように、ほかの甘味の強さを引き立たせる効果があります。

 

2、抑制効果

すし酢に塩を入れると酸味がやわらぎ、まろやかになります。このように、ほかの味の強さを弱める効果があります。

 

3、たんぱく質を固める作用

魚を焼くときに塩をふっておくと表面が早く固まって身崩れしにくくなり、中の旨みを逃さずに閉じ込めることができます。ほかに、ゆで卵を作るときに塩を加えると、卵の殻にひびが入ったときに卵白が流れるのを防げます。

 

4、脱水作用

塩はほかの素材との浸透圧の差によって、素材の水分を外へ引き出して脱水させる作用があります。漬け物をつくるとき、野菜を塩揉みするときなど、野菜の余分な水分を出すときに使います。

 

5、色止めの効果

青野菜を茹でるときに塩をいれると、野菜の緑色を鮮やかに保つことができます。りんごを切ったときも塩水につけると変色を防ぐことができます。

 

6、防腐作用

塩分が微生物の水分を奪うため、ほとんどの微生物が繁殖できなくなります。塩分を多く含む食品(たらこ、塩辛、塩漬けの魚など)が腐りにくいのはこのためです。

塩の種類

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天然塩

海塩や岩塩を原料とし、塩化ナトリウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルと、にがりが自然に含まれています。天然塩は原料の産地や製法・工程の違いでたくさんの種類があり、商品によって成分も異なり味もさまざまです。天然塩を選ぶときはその商品をよく理解したうえで使うといいでしょう。

 

原料が海塩の場合は、天日できる地域は天日で結晶化させた「天日塩」や、日本のように湿度が高くて天日で乾燥できない地域で釜炊きして結晶化させた「釜炊き塩」と書かれたものなどがあります。

商品によって成分に幅があるので一概にはいえませんが、海水のミネラル分が豊富なため、塩辛さだけではなく旨味のある味わいでコクや深みがあるのが特徴です。

 

原料が岩塩の場合は、溶けにくくて硬いため直接なめると少し甘く感じますが、ナトリウムの割合は高く、塩みが強いのが特徴。マグネシウムなどのミネラル分はほとんど含まれないので、苦みが少なくまろやかに感じます。

焼いたお肉やカルパッチョの仕上げにふったり、白身のお寿司にパラッとふったりと、ガリッとした食感とまばらに口に当たる塩味を楽しむ使い方がおすすめです。

 

精製塩

海水を原料とし、“イオン交換膜法”という方法で科学的に作られた塩。カリウムやカルシウムなどのミネラルや、にがりを取り除いた塩化ナトリウムが99.5%以上のものを指します。

不純物が取り除かれているため、海洋汚染などの影響を受けず安心して使えます。また、サラサラしていて溶けやすいので塩味が全体にすぐにまわり、味にムラができにくいのが特徴。価格が手頃で成分も安定しているため味が決まりやすく、一般的に使われることが多い塩です。

精製塩の商品には、「塩化ナトリウム99%以上」、製造工程「イオン膜 立釜 乾燥」や「溶解 立釜 乾燥」などと書かれています。

教えて!塩のギモンQ&A

離乳食から塩を使ってもいいの?

腎臓に負担がかかったり味覚形成に影響が出たりするため、7カ月頃までは控えましょう。また、濃い味付けに慣れると将来、生活習慣病の発症率も高まるため、薄味が基本です。塩分は母乳や粉ミルク、離乳期に食べる食材にも含まれているので、基本的に塩を使用する必要はありません。

料理やおやつに使うときの幼児の適量は?

先ほど述べたように、5〜7カ月頃までは塩は使わなくていいでしょう。8カ月頃は0.1~0.2g、9~11カ月は0.2~0.3g、1歳~1歳半は0.4~0.6g、1歳半〜2歳は2g、3~5歳は3gを目安にしましょう。

乳幼児がよく食べるもので、塩分が多いものは?

塩分が多い食品は、しらす、うどん、パン、チーズ類のほか、ハムやソーセージ、かまぼこ、ふりかけ、味付け海苔などの加工食品です。加工食品は離乳期は控えましょう。幼児もなるべく控えたほうがベストです。

しらすはお湯を回しかけて塩抜きし、うどんやパンなどの主食類をあげるときはその他の料理の塩分を控えめにしましょう。チーズはその分の塩分量を考慮して、その他の味付けを薄めに。離乳食で塩分の多い食材を使うときは、その食材の塩分を利用して調味料の役割で使うといいですよ。

塩分を摂りすぎない味付けにするにはどうしたらいいの?

乳幼児の食事はだしを利かせましょう。大人の食事はだしのほかに酸味を加えたり、カレー粉や七味などのスパイス、香味野菜を使うと味にメリハリが出るので物足りなさをカバーでき、塩分を無理なく控えることができます。また、汁物は野菜などをたっぷり入れて具沢山にすれば汁の量が少なくてすみ、減塩につながります。

上手な保存方法は?

湿度と温度の影響を受けやすいので高温多湿の場所に置かないようにします。湿気を吸収すると固まってしまうため、密閉容器に入れて保管しましょう。また、匂いを吸着しやすいので、匂いの強いもののそばに置かないようにします。

パスタをゆでるときに塩を入れるのはどうして?

パスタの麺には塩が入っていないので、下味をつけるためということと、塩を加えてゆでると食感がよくなることが挙げられます。

野菜をゆでるときに塩を入れるのはどうして?

青菜やブロッコリーをゆでるときに、ゆであがりの色をきれいに出すために塩を入れます(色止め効果)。また、「塩ゆで」をしないものより日持ちもしやすくなります。それに、塩味がつくのでそのまま野菜に“白ごま”をふりかけたり、“ごま油”で和えたりするだけで簡単に一品が完成し、手軽に野菜が補えますよ。
「塩ゆで」はお湯の1〜2%の塩分量でゆでるのが目安です。