上手なおやつの摂り方

幼児期のおやつは食事の一部と言われるくらい大切。でも、どんなものをどれだけ用意したらいいか迷うことも。そこで最終回は、おやつの疑問にお答えします!

幼児のおやつの役割とは?

幼児は、体が小さいわりに多くのエネルギーや栄養素を必要とします。けれども子どもは、食事を用意してもムラ食いや好き嫌いがあったり、眠くなったり、機嫌が悪かったりといった理由でコンスタントに食べられないことがあります。

また、消化器官の機能も未熟なうえ、胃が小さいために食事だけでは必要な栄養量を満たすことが難しく、それを補うためにもおやつは重要になってきます。

 

1、2歳のおやつは、食事で不足しがちな栄養素を摂るのが理想ですから、大人が食べるようなスナック菓子、菓子パン、ケーキ、チョコレート、飴などのお菓子にはまだ慣らさないほうがいいでしょう。

味の濃いお菓子やジュースに慣れてしまうと、むし歯、肥満、偏食、食欲不振になりやすいので気をつける必要があります。

 

3歳以降になると食事量も増えてくるので、おやつは補食としてだけではなく「お楽しみ」としての精神的な役割も加わります。食事とは違う味や香り、色、盛り付けがされたおやつは、子どもにとって魅力的。ワクワクしたり、甘い物を食べてホッとすることもあります。さらに、おやつの時間は活発な幼児の生活に、休息や気分転換を図るきっかけを与えます。

また、子どもと一緒におやつを手作りすれば、楽しい記憶が刻まれたり、創造力を伸ばしたりすることにつながります。

それからおやつには教育的な役割も。たとえば、「おやつの前に手を洗おうね」と言うと率先してやってくれますし、お皿を運んでもらうお手伝いも、食事だと熱かったりして危険ですが、おやつなら気軽にさせることができますね。このようにマナーやしつけなどを教えることが無理なくできます。

おやつで摂りたい栄養素は?

幼児期に不足しがちな栄養素は、鉄、カルシウム、ビタミン。それを補うには、牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、芋、果物などがおすすめ。また、手作りなら、しらす入りおにぎり、かぼちゃとレーズン入り蒸しパン、お好み焼き、プリン、にんじんゼリー、フルーツヨーグルト和え、スイートポテト、ピザなどを用意してあげるといいでしょう。

 

市販のおやつを利用するときは、食品添加物の表示を確かめて合成着色料、人工甘味料、合成保存料などを使用していないものを選びます。また、塩味、甘味、香辛料の強いお菓子は摂り過ぎないようにしましょう。

おやつの時間と量は、決めた方がいい?

食事に影響しないように食べる時間と量をある程度決め、座って食べる習慣をつけましょう。

1、2歳は10時、15時の2回、3歳以降は食事がきちんと摂れるようになってくるので15時の1回が理想です。

量には個人差はありますが、1、2歳で100~150kcal、3〜5歳は200~260kcalを目安にし、次の食事に影響しない量にします。

 

「おやつをあげなくてもいいですか?」と聞かれることもありますが、12時の昼食から18時の夕食まで6時間もあいてしまうと子どもはおなかが空きすぎてしまいます。おなかが空きすぎると早食いになることもあるので、夕食をゆっくり味わって食べるためにも少しおなかが満たされていたほうがいいのです。そして、先ほど述べたようにおやつにはさまざまな役割があるので、おやつの楽しい経験をたくさんさせてあげましょう。

 

気をつけてほしいのは、泣いたりぐずったりしているときに、なだめるためにおやつを与えてしまうこと。親がそのような理由で簡単に与えてしまうと、「イヤな気持ちを紛らわすために食べる」という行為につながってしまいます。そうなると、せっかくのおやつが、イヤな気分になるたびに食べるということになりやすく、味覚を育てるという点であまりおすすめではありません。いやな感情はなるべく食べ物と結び付けないことが大切です。

 

おやつの時間は親がきちんと線引きをしましょう。お子さんが決められた時間までおやつを我慢できたら、「決めた時間に食べるとおやつもごはんもおいしいよね」「みんなと揃って食べるとおいしいでしょ」など、前向きな声かけをしてみましょう。