「楽しく食べるこどもに」
積極的に進められてきた子どもの食をめぐる取り組み
食育基本法の策定と並行して、厚生労働省では、栄養学や医学、教育学や保育の有識者が集まり、「食を通じた子どもの育成(-いわゆる食育の視点から―)」のあり方に関する検討会が行われていました。
大人の食生活の乱れと同じように、発育・発達の重要な時期にありながら、栄養素摂取の偏り、朝食の欠食、小児期における肥満の増加、思春期におけるやせの増加など、子どもの食をめぐる問題は多様化・深刻化し、生涯にわたる健康への影響が懸念され始めていました。
また、親の世代においても食事づくりに関する必要な知識や技術を十分有していないとの報告がみられ、親子のコミュニケーションの場となる食卓において家族そろって食事をする機会、いわゆる「共食」の機会が激減していたのです。また、家族や友人、周囲との関係性をうまく作れずひきこもってしまったり、「キレる」行動をとったり、あるいは「いじめ」や「虐待」、凶悪な少年犯罪が増加している背景にも、「食」をめぐる歪んだ現状が影響していることが様々な調査研究からわかってきました。
これらの危機的な状況を踏まえて、2004年までに合わせて7回の検討が行われ、同年2月に「楽しく食べる子どもに ~食からはじまる健やかガイド~」、また4月には、保育所における食育の重要性にかんがみ、保育所保育指針に示されている保育内容や発達過程との整合性を図りながら、食育のねらい、内容、配慮事項を整理した「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」がとりまとめられました。
「楽しく食べる子どもに ~保育所における食育に関する指針~」より
【食育の目標】
現在を最もよく生き、かつ、生涯にわたって健康で質の高い生活を送る基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培う。
【5つの子ども像】
保育園で長時間を過ごす子ども(長い子では昼食、おやつ、補食(または夕食)を食べます)においても、「食べること」は生活の基本となる活動です。そこで、保育園では、「保育所保育指針」に基づいて各保育園で作成されている「保育課程」にのっとり、一人ひとりの子どもの育ちに沿って、保育全体を見通しながら「食育」を重要な項目の一つと位置付けて、保育を展開しています。
このガイドラインは、保育所における食育の指針、となっていますが、ご家庭での食育にも大変参考になるものです。
この指針には、楽しくおいしく食べる子どもに育つための5つの目標や発達ごとのねらい・配慮事項がわかりやすく示されていますので、ぜひ一度のぞいてみてください。
(食育のねらいおよび内容)
〉厚生労働省のガイドライン(概要)[PDF]