スプーンやフォークから箸へ。いつから箸をもたせるの?

食具について作業療法士が伝えたいこと、第3弾は「箸はいつから持たせる?」です。「大切な機能を育てる手づかみ食べ(第1弾)」に続き、第2弾は「スプーンではなく、フォークからスタートすること」でした。そして今回、箸を持たせるタイミングとその時の大事なポイントについて、
専門家が伝えたいこととは…

子どもの気分によって食具も使い分けよう

箸を導入する上で大事な3つのポイント

①「食事の始めに取り入れる」こと
②「できないときはスプーンやフォークを使う」こと
③「できたときにしっかり褒める」こと

 

箸の使い始めは、箸に興味があっても当然上手く使えません。途中から箸を渡すと、スプーンやフォークよりも上手く扱えないことにイライラし、しまいには食事に飽きて遊び食べを始めることも予想されます。箸を食事の始めに取り入れ、遊び食べになってしまう前にスプーンやフォークに持ち変えると上手くいきやすいでしょう。
また、食材やお子さんの気分によって箸・スプーン・フォークを使い分ける必要があります。柔らかかったり、小さかったり、崩れやすかったりと、箸でつまみづらい食材は箸の使い始めには向きません。また機嫌が悪かったり、そもそも食事に気持ちが向いていなかったりすると、箸の練習どころではありませんよね。難しい時は早々にスプーンやフォークを渡してあげてください。
それから、できていないことを指摘するより、上手くいったときにしっかり褒める方が効果的です。箸を1回でも使えたら「上手に持ててるね」「上手に使えてるね」などしっかりと褒めて、スプーンやフォークに切り替えてあげるのも良いですね。

 

うまくいかなくても毎日の繰り返しが大切!

箸の使い始めに、“箸だけ”で食事を摂ることはほぼ不可能です。それなのに箸だけで食べさせようと頑張ると、食事そのものが全く楽しくなくなり、自分で食べることすらも拒否し始めてしまいます。また、持ち始めはただ箸を“持っているだけ”になりやすく、フォークで食べられていたのに手掴みに戻ってしまうということも考えられます。子どもが綺麗にご飯を食べられないとついイライラしてしまったり、昨日できていたことができなくなってしまったりして落ち込むことがあるかもしれません。しかし、脳は毎日繰り返さないとそれが自分にとって大切な機能と認識しません。大切なことは「自分ですること」です。自分で考え、試行錯誤し、最終的に自分の力でできたことが脳にしっかりと定着し、習慣化されます。道具を使えることを優先するより、まずはどんな形でも自分で食べられることが大切です。道具を使い始める際はそのことを忘れずにいると、お母さんのイライラや焦りも少し軽減するかもしれませんね。時間がかかるかもしれませんが、お箸を使えるようになることは、首座りから歩くまでのように時間をかけてできるようになる動作です。気長に取り組んでいきましょう。

 


 

※今回は、一般社団法人ぽけっとの【作業療法士】が執筆しました。

 

一般社団法人ぽけっと

corporate009_img012017年2月設立。児童発達支援・放課後等デイサービス事業『発達支援ルームぽけっと』や園や学校の先生方を支援する研修・巡回事業等のサービスを提供しています。
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