味覚を育む「ごはん」のススメ

食事の楽しさや素材そのもののおいしさを覚え始める乳幼児期。そこで離乳期から口にする「ごはん」と「だし」の話をはじめ、味覚を育てるために大切な食習慣や食べる意欲を引き出す秘訣をご紹介します。

離乳食はなぜお米からスタートするの?

以前の離乳食は、穀類などの炭水化物→野菜などのビタミン、ミネラル→豆腐などのたんぱく質の順で摂り始めることを習慣にしていましたが、本当は食品の順序にはあまり意味がありません。お米を苦手とするならば、にんじん、かぼちゃ、じゃがいものように滑らかにすりつぶせるものならどれから始めてもかまわないのです。

一般的にお米から開始するのは“食物アレルギーになりにくい”というのが理由の一つ。それともう一つは、日本はお米の文化ですから、大人の食事になじんでいくためにも、消化しやすく自然の甘味があるお米から始めることが多いのです。

和の味覚を発達させるには、ごはんがおすすめ!

和食の魅力は、新鮮な旬の食材を使いその素材の味を活かした調理方法が多くあることです。また、ごはんは栄養バランスに優れていて、さまざまな食材とも合わせやすいのが特徴。日本は昔から「口中調味」といって、ごはんを口に入れて、おかずとなる焼き魚や煮物、漬物の量を加減しながら混ぜ合わせて食べる習慣があります。しょっぱいと思ったらごはんを多めにして塩味を調整し、口の中でいろいろ合わせて味わう食文化なのです。洋食ではパンをスープに浸して食べたりしますが、口の中で一緒に食べ合わせるということはあまりしません。口の中で混ぜ合わせて味わうのは和食ならでは。

このようなことからも、幼い頃から伝統的な食べ方に慣れつつ味覚を発達させるのは和食=ごはんが優れていると思います。

 

また、和食はよく噛む練習ができます。ごはん粒自体も咀嚼(そしゃく)が必要ですし、おかずは食物繊維が豊富な野菜、海藻、きのこなどが多いですから自然と咀嚼を促せます。咀嚼は味覚を育むうえでも大切な要素の一つ。グラタンやハンバーグなどの洋食は油が多く、繊維質も少ないのであまり噛まずに食べてしまいます。また、洋食に慣れてしまうと油の摂取量が過剰になりやすいのですが、ごはん中心の和食は油の過剰摂取を自然と抑えられます。

生活習慣病予防のためにも、こうした野菜などの食物繊維が豊富な食材を成長発達に合わせて調理し、幼い頃から和食を見たり食べたりする経験を増やすことで、将来にわたり健康的な生活を送ることができます。

ごはんにはどんな栄養がある?

ごはんの栄養素といえば炭水化物です。炭水化物はブドウ糖になって体内にエネルギーを供給します。脳や神経系のエネルギー源であり、体のために大切な栄養源です。お腹が空いたときに野菜から食べるかといったらそうではないですよね。真っ先に口にしたいと思うのはエネルギーになる炭水化物。エネルギー源は体にとって必要なので、炭水化物は生きるうえで大事であり人間が欲しているのでしょうね。

 

ごはんには炭水化物の他にもいろいろな栄養素が含まれてはいますが、完全ではありません。ごはんに含まれる栄養素を代謝するにはビタミンB、B2、ナイアシンなども必要ですから、バランスよくさまざまな食材を組み合わせるといいでしょう。

 

また朝食を欠食すると脳のエネルギーが不足することから、脳が充分に働かず集中力や記憶力の低下につながります。1日3回の離乳食を摂るようになったら、食事のリズムを大切にして生活リズムを整えていきましょう。

 

離乳食のおかゆは炊き方にこだわった方がいい?

味覚を育むという点では、土鍋でお米から炊くおかゆはとてもおいしいと思いますが、お米はもともと甘味があるものなので、ごはんから水でコトコト煮ておかゆにしてもおいしさは充分あります。

離乳食は赤ちゃんの舌の動きに合わせてとろみを調整することが大事なので、炊き方はあまり気にせずにできる範囲で始めましょう。

実践!忙しくても続けられる「10倍がゆ」の作り方

ごはんから電子レンジで作る(作りやすい分量)

大きめの耐熱容器にごはん大さじ1と水50mlを入れ、ふんわりラップをして1分加熱、5分蒸らす。

※吹きこぼれやすいので短時間で加熱し、基本の割合より水を少なめにします。

ごはんから鍋で作る(作りやすい分量)

鍋にごはん大さじ1と水150mlを入れ、軽くほぐして弱めの中火にかける。煮立ったら弱火にして、ときどき混ぜながら5分煮る。柔らかくなったら火を止めて蓋をして5分蒸らす。

炊飯器で大人のごはんと一緒に炊く(作りやすい分量)

湯のみや市販の専用カップに米大さじ1と水150mlを入れ、炊飯器の中央に置いて大人用のごはんと一緒に通常通りに炊く。炊き上がったら長めに蒸らす。

“米粉”をおかゆに使ってもいい?

月齢が上がるにつれツブツブがないと物足りなくなり丸呑みしてしまうので、米粉のおかゆは離乳食の開始時期に向いています。

米粉でおかゆを作るときは、小さい鍋に水大さじ2と米粉大さじ1を入れて火にかけ、とろみが出たら完成です。米粉を選ぶときは、米を加熱してでんぷんを糊化させてから粉にした“α(アルファ)型”のものが適しています。