歯はどれだけ生えている?

離乳完了の頃、歯はどれだけ生えている?

1歳から1歳6か月頃に離乳は完了し、幼児食へ移行します。最初の奥歯(第一乳臼歯)は、1歳6か月頃に上下で噛み合うようになります。しかし、この歯は噛む面が小さいために、噛み潰せてもすり潰しはうまくできないので、食べにくい食品が多いです。

そこで、育児雑誌やインターネットなどからの情報をもとに「何か月(何歳)だからこの食品(料理)が食べられる」と判断するのではなく、子どもの歯の生えている状況と咀嚼力を勘案して、食べ物を選択することが重要です。

 

食材や食形態が子どもの口腔機能と合致していないことで起こりがちな「噛まない」でそのまま口から出したり、口にためて「飲み込まない」、「丸飲み」したりする食べ方の問題点は、一過性のことが多いのですが、以下のような対応をしつつ、子どもの口腔機能の発達を見守ることが必要です。

「噛まない」場合には

噛まないからといって、歯ごたえのあるものを食べさせて、咀嚼を促そうとするのは固くて食べづらく、噛むことが嫌になり、飲み込んでしまうので逆効果です。指でつぶせるくらいの固さの根菜の煮物などで咀嚼を促します。

「飲み込まない」場合には

“その食べ物が嫌い”という意思表示の場合や咀嚼不足で飲み込めない場合に起こりがちです。そこで、何を、どのような理由で飲み込めないのかを確認して対策を考えます。

「丸飲み」の場合には

「丸飲み」は咀嚼に時間がかからないために早食いを助長し、それが習慣になると食べ過ぎて、肥満になるリスクも発生します。「丸飲み」は食べ物が固すぎる場合や、細かく刻みすぎて噛む必要がない場合に起こりがちです。また、乳児は口中でばらばらになってしまう物(ひき肉、ブロッコリーなど)をまとめることができずに、丸飲みすることもあります。そこで軟飯のように口中でまとまりやすいもので、噛むことに慣れていくとよいでしょう。

食事時間はゆったりと

よく噛まない子どもは母親が忙しすぎたり、普段から子どもを急がせたりする傾向が強いことがこれまでに明らかにされています。また、いつまでも口に食べ物をためている子どもの母親は、子育てに手をかけない、子どもとの間に共感する関係ができていないとする報告もあります。そこでこれらの子どもへの対応は、歯の生えている状況や咀嚼力の発達を考慮することと共に、食事時間には大人が子どもとゆったりと心を通わせて向き合うこと、楽しい食卓の雰囲気を作りなが ら、みんなで楽しく食べることで食欲を高めること、また、よくかんで味わう食べ方を周囲の大人が手本として示すことが大切です。